AIをもっと速く、そして確実に成果へつなげるために|株式会社DTL 中村大介さん

データサイエンスとAI(人工知能)を軸に、企業の意思決定や業務変革を支援する株式会社DTLの代表取締役、中村大介(ナカムラダイスケ)さんにお話を伺いました。

中村さんは、東京大学大学院 情報理工学系研究科に在学中、ロボット工学やAIの研究に従事していました。大学院修了後は、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、戦略コンサルティングや金融分野のプロジェクトに携わりました。その後、医療データ活用の先駆者である株式会社JMDC(旧・日本医療データセンター)に参画し、取締役副社長として日本最大級の医療データベース構築を主導しました。さらに、東京大学発AIベンチャーである株式会社JDSCでは執行役員として、物流・サプライチェーン領域のAIソリューション立ち上げを推進し、2021年の上場までを牽引しました。

 

このように中村さんは、戦略コンサルティングと最先端テクノロジーの双方に精通した、ハイブリッドなキャリアを築いてきました。一方で、数多くのAIプロジェクトに携わる中で、ある強い問題意識を持つようになったといいます。それは、AIプロジェクトの成功率の低さです。

「ある調査では、AIプロジェクトの8割以上は失敗すると言われていますが、私自身の実感としてもその通りだと感じています」と中村さんは語ります。

中村さんが特に課題として挙げるのが、AIプロジェクトの複雑性の高さです。まず第一に、企業でのAI導入はデータ収集・加工から始まり、モデル精度検証、プロトタイピング、システム開発など多段階に亘り長期間を要します。次に、特に大企業においてはAIの業務導入にあたって複数の部門が関与することになり、意思決定に時間を要し、結果としてプロジェクトがより長期化しやすい傾向があります。

予測モデルを作成しても期待した精度が出ない、学習に必要なデータの品質に問題がある、あるいはAIシステム自体は完成したものの現場で活用されないなど、さまざまな理由で、途中で頓挫してしまう案件が後を絶ちません。

中村さんは「ビジネスとして明確な成果を出せているAIプロジェクトは、全体の5%程度ではないか」と、その難易度の高さを指摘します。

 

こうした経験を経て、「もっと短期間で成果を確認でき、成功確率を高める方法が必要だ」と考え、株式会社DTLで中村さんが挑戦しているのは、AIをビジネスに実装するプロセスそのものを、AIの力で加速させるというアプローチです。

具体的には、プロジェクトの企画段階から大規模言語モデル(LLM)を活用し、アイデアの壁打ちや仮説検証を高速で行います。これにより、自身では思いつかなかった業務課題仮説を取り入れたり、思考のバイアスを外したりすることが可能になります。また、初回打ち合わせをしながらその場でプロトタイプを作成し、「この仕組みが実現したら、いくらで購入したいか」と顧客に直接問いかけることもできるようになりました。この1年で、仕事の進め方は大きく変化したといいます。

 

「少人数で事業を行う立場だからこそ、AIの恩恵は非常に大きいです。一人でできることが増え、仕事のスピードは体感で10倍ほどになりました」。中村さんは、そのスピード感を顧客にも還元し、これまで1年かかっていたプロジェクトを1週間で完了させるといった挑戦も行っています。

従来は半年から1年以上を要していたAIプロジェクトが、現在では2〜3週間でプロトタイプを提示し、システム開発・業務導入まで3カ月程度で完了するケースが見え始めています。初回の打ち合わせから業務課題を深く掘り下げられるため、「まさにその通りです」と当初から共感を得られることも多くなりました。また、次回のミーティングで実際に動くプロトタイプを見せると、「もう動くのですか」と驚かれることも少なくありません。実際に使ってもらうことで、「AIは想像以上に実用段階に入っている」と評価されることも増えています。

 

中村さんは、こうしたアプローチを今後サービスとして体系化し、本格的に展開していく考えです。「これからAIプロジェクトを始めたい方や、少しでも興味を持ってくださる方がいれば、ぜひ気軽に声をかけてほしいです」。株式会社DTLは、AIをもっと速く、そして確実に成果へつなげるための挑戦を続けています。これからAIに取り組もうとする企業にとっても、過去に挫折を経験した企業にとっても、株式会社DTLは新しい可能性を一緒に切り拓く存在となるはずです。

 

貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

 

(co-lab五反田 with JPRE コミュニティファシリテーター阿部)