INTERVIEW
動きをデータに、データを価値に。AIで広がる私たちの未来|株式会社ウゴトル 西川玲さん
AIを使ったプロダクト開発をおこなっている、株式会社ウゴトルの西川玲(ニシカワ アキラ)さんにお話を伺いました。
もともとエンジニア出身の西川さんは、外部からの受託事業にエンジニアとして取り組む一方、ご自身のスポーツ好きが発展し起業した、動作解析をメインとする株式会社ウゴトルの代表としての顔もお持ちです。ウゴトルでは、映像などから人間の姿勢を自動で推定する「姿勢推定」を使って得た骨格の情報をいかに社会実装していくかにトライしています。また、自身を“技術オタク”と称する西川さんは、AIツールをどうやって活用していくかを日々研究していらっしゃるとのこと。最近はモバイルアプリが進化して、以前は難しかった人間の動きをデータ化する技術が発達してきたので、そこから新しい価値を創造しようという取り組みに力を入れています。ウゴトルは、スポーツ教育からリハビリまで、動きとテクノロジーを掛け合わせた様々な事業を展開しているのです。
ウゴトルが開発する3つのアプリケーションについてもお話を伺いました。
本格的なヨガのポーズはもちろん、漫画やアニメのキャラクターのポーズをどれだけ正確に再現できているかというエンタメ的な要素もあり、さまざまな角度から楽しむことができるアプリ「ウゴトライ」。
各種スポーツのフォームを動画で記録し、同じ動きができているか判定することができる動画比較分析アプリ「ウゴトル」。
そして、現在開発中の「ウゴトレ」は、自主トレーニングを特に目標なく延々と続けるモヤモヤから脱却するため、トレーニングのたびにAIが自分に合った評価をして体の動きをサポートしてくれるリアルタイムフォーム改善アプリです。
ウゴトレの使用環境として、「PCを使い、AIが判別しやすいスクワットのようなゆっくりした動きを必要としている人をターゲットに」という視点から、エンジニアやIT系のお仕事をしている人向けに打ち出すため、チームメンバーと試行錯誤を続けているのだそう。
ウゴトレを使ったトレーニングの様子は、実際に西川さんが披露してくださいました。西川さんの体の動きに合わせて画面上にはアドバイスが表示され、何回スクワットしたか等の情報も分析・表示される、優れものです。
もともとは動作解析というより、動作比較や動画制御の細やかさが売りだったと話す西川さん。しかし、その部分だけでは発展していけないと、姿勢推定メインに移っていったのが現在の事業形態の始まりだそうです。今や様々な企業が姿勢推定に取り組んでいるものの、レファレンスモデル(標準的な姿勢推定の方式)を使っているため技術としては横並びの部分も多いのだとか。その点、ウゴトルは常に最新の論文を追いかけているところが強み。今は生成AIなども活用し、成人男性に向けて、女性に向けて、子供に向けて、といったように、一人一人にあったアドバイスが出てくる個人最適化の工夫もしています。技術が実際のプロダクトとして降りてくるのは数年後ですが、常に最新の論文をもとに実装し続けることで形になるまでのタイムラグを埋めていくイメージで、論文ベースから実装に至るまでの道筋をどう構築していくのかを考えているところだとお話しされていました。
このように、ウゴトルの事業を進めるうえでAIを使うことが多い西川さんですが、業務上でも効率化の手助けとしてAIを活用しているといいます。
例えば、業務の概要をまとめてくれるドキュメント整理系のシステム。やり方によっては、フォルダ構成をどうしたいか指示すればきれいにファイルを整理してくれるなど、自分では面倒くさがってしまう部分を補完する意味でもAIは便利に活用できるのだそうです。
また、決められた日時に指定した条件で定期調査のワークフローを組んでおけば、月曜日の朝に、自社案件に関係のある内容を海外を含めた様々な論文からピックアップして概要をまとめたものを業務用チャットに投げてもらう、なんてことも可能。もともとAIが組み込まれているシステムを使えば、官公庁系の込み入った話を要約したり、「OKの方向で返信書いておいて」といった文面作成まで、その活用法は多岐にわたるようです。
最後に、プレゼン会に参加されていた会員の方に向けて、「ウゴトルTシャツの人」で覚えてね、とフレンドリーにアピール。いつもキッチンでコーヒーを淹れているので、気軽に雑談しましょう!と締めくくってくださいました。
この日は、プレゼン会に参加していたAIシステム開発に取り組む会員の方と「最近のAIエージェントツールの返答が重い(時間がかかる)のは何故か」という熱いトークが繰り広げられる場面も。
“好きこそものの上手なれ”
西川さんのAIに対する好奇心が「動き」と「テクノロジー」を結びつけたウゴトルという会社を生み出し、進化し続けるAIとともに、これからさらに発展していくウゴトルさんの未来が垣間見えたような気がします。
貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
<ウゴトルさんのお仕事はこちらからご覧になれます>
(co-lab五反田 with JPRE コミュニティファシリテーター安藤)