クライアントに寄り添うブランディング|SOERU-添えるデザイン 岡田玄也さん

デザインとブランディングに関わるお話を、SOERU-添えるデザインの岡田玄也(オカダ ゲンヤ)さんに伺いました。
クリエイティブディレクター/デザイナーの岡田さんはデザインと企業のブランドをどのように繋げているのでしょうか。

岡田さんが「ブランディング」に目覚めるまで

大学で建築を学び、一度はハウスメーカーの営業職に就いた岡田さん。
しかし、広告に興味が出たため、学校で学び直してデザイン会社に転職しました。
転職先は大手時計メーカーの宣伝を一手に受けるデザイン会社だったため、岡田さんは商品のブランディングをデザインの観点で考えるようになりました。

一方で、知人の会社の立ち上げを手伝うことが今のブランディングの仕事に繋がっていきます。知人の仕事の強みや特徴を何度もヒアリングし、ロゴデザインやウェブサイトを作成したことが、企業理念の可視化となり、後にその仕事がブランディングだと言うことを認識していきます。

岡田さんの考える「ブランディング」とは

その後、企業ブランディング/CI(コーポレートアイディンティティ)に興味を持った岡田さんはブランディングを専門とする会社に移籍し、キャリアを長く積みます。2023年には独立し、添えるデザインを立ち上げ、ブランディングについてさらに思考を深めていきます。

岡田さんが取り組む「ブランディング」は、下の図のようにブランド(独自の価値)を「つくる」/「伝える」/「提供する」の3つに分けられます。

「伝える」ことについて

3つの中で岡田さんが一番得意としているのは「伝える」ことです。
ロゴデザインのようにシンボリックな形にデザインすることですが、形にする前に、企業の理念を言語化/可視化することを大事にしています。企業経営の核となるMVV(ミッション〈Mission〉、ビジョン〈Vision〉、バリュー〈Value〉の略語)を明確にして、理念の言語化を行い、それらの総称としてロゴデザインを提案します。それによって、物事の表層だけではなく、木の幹のように根幹の部分に関わるデザインを手掛けることができます。

事例として不動産会社のロゴデザイン作成についてお話しくださいました。
この会社は人を大事にし、支えることを理念としていたので、ロゴも支え合うようなデザインにし、ロゴを真ん中に配置した名刺をデザインしたとのことです。そのエピソードは名刺交換の際に相手に企業理念を伝えやすくし、また社員も自然と企業理念を思い出す効果があります。ロゴや名刺の一つ一つに意味を持たせることによって、企業のブランディングを可視化しただけでなく、会社内の意識も変えるインナーブランディングになったとお話しくださいました。


「提供する」ことについて

「提供する」ことの事例として、企業のWEBデザイン改修のお話をしてくださいました。
この企業は、事業のビジョンは決まったものの、どういう風に伝えたらよいのかわからないというお悩みを持っていました。そこで岡田さんは、ビジョンをシンボリックなロゴで表すという手法ではなく、イラストや紙芝居形式でビジョンを紐解き、企業パンフレットや採用ページのコンテンツなどに利用できるような形にしました。

「つくる」ことに関して

「つくる」の事例では、事業のMVVを作る社内ワークショップを行い、参加者からの意見で、事業の目的確認や目標を抽出しました。そのワークショップの成果に、企業の理念も組み入れて、体系立てて可視化したそうです。

岡田さんの強みは様々な情報をまとめて、クライアントのイメージを体系立てて提供できるところです。ロゴデザインを手掛けるだけではなく、テキストを使ったりワークショップを行ったり、様々な手法で企業の悩みや目的を解決する方法を選びます。
最近では、新規事業を立ち上げる段階から岡田さんが呼ばれ、伴走者のような役割を担うことが増えているそうです。

クライアントと伴走する「ブランディング」の在り方

岡田さんはもともと「つくる(創業/サービス開発)」ことは自分の専門外だと思っていたそうです。しかし、クライアントの悩みや要望に真摯に取り組む中で、仕事の幅が広がり、「ブランディング」の考え方を使って、デザインの最適な活用法を提案するようになったそうです。その徹底的にクライアントに寄り添い伴走する姿勢が、現在のお仕事に繋がっていると感じたお話でした。

最近ではco-lab内やイベントのコラボレーションも手掛けている様子で、今後のご活躍もとても楽しみです。わくわくするお話をありがとうございました。

 

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SOERU-添えるデザインのHP
SOERU-添えるデザイン 岡田玄也さんのクリエイターリスト

 

(co-lab渋谷キャスト チーフ・コミュニティ・ファシリテーター 中山)