イベントレポート|創造性発見ワークショップDAWN! 1日目

 

3月16日(火)、co-labを企画運営する春蒔プロジェクトと、音楽を通じて風通しのよい社会づくりを目指す特定非営利活動法人パラ・ラ・ムジカの共同企画で、これからのVUCAな時代をしなやかに生き抜くために、「クリエイティブ」な仕事の考え方に触れてみることを目的とした「創造性発見ワークショップDAWN!―中高生のうちに見つけたい!仕事に対する考え方―」が開催されました。

全3日間にわたるプログラムの初日は、自由な音楽スタイルで注目を集める音楽レーベルorigami ProductionsのCEO対馬芳昭氏をゲストに、テレビラジオのプレゼンターとしてご活躍のアンドレア・ポンピリオ氏をファシリテーターに迎えて「刺激から発見する」というテーマでトークセッションを行いました。コロナ禍の緊急事態宣言発令中という状況の中、オンラインでの実施を試み、第1部ではそれぞれの分野の第一線で活躍するプロフェッショナルな2人の生きた声に耳を傾け、第2部では、「仕事に対する考え方」について中高生たちとの意見交換も盛んに行われました。若者たちの悩みや進路への思いなど普段なかなか聞くことのできないピュアでリアルな声に触れることができ、とても有意義な時間となりました。

登壇者
対馬芳昭(origami PRIDUCTIONS CEO)
アンドレア・ポンピリオ(プロデューサー・TV/ラジオプレゼンテーター)
竹丸草子(コーディネーター/プロジェクトプランナー artenarra代表)

まずは、コーディネーターであり進行役の竹丸草子氏よりゲスト対馬氏とアンドレア氏の紹介からスタート。対馬氏からは音楽レーベルとは具体的にどんな仕事をしているのか、アンドレア氏からは、ジャーナリストだった父親の影響でメディア側に立つ経緯に至ったことなどについて、自身の自己紹介と仕事の内容について、中高生でも理解しやすいようにそれぞれ話していただきました。

十数年前のJ-WAVEの番組を通じて知り合ったおふたり。当時、対馬氏はビクターエンタテインメントにて海外のアーティストを宣伝する立場であり、アンドレア氏は番組のDJとして出演されていたそう。現在は、彼らの立ち上げた新しいプロジェクトであるオンラインラジオ「WAH!Radio」というプラットフォームを持つことによって、カルチャーとライフスタイルを通して世界にメッセージを発信しているそうです。

「僕たちは経験しかない。それ以外は学生のみんなと一緒。刺激から発見していこう。僕らも刺激を受けていきたい」
アンドレア氏のその一言から本題に入りました。

「クリエイティブってなに?」

今の時代、よく使われている「クリエイティブ」というキーワード。もはや、新鮮さのない言葉。それでも、この「クリエイティブ」という概念を今一度、おふたりと共に追求してみることになりました。

対馬氏
「まさに、言葉のままですね。創造性、想像力、何かを作ること。絵を描く、音楽を作る、そういったデザイナーさんやアーティストがクリエイティブと思われがちですが、職種も年齢も関係なく、誰にでもクリエイティブは備わっていると思います。人間誰もがクリエイティブなんですよ。僕たち(アンドレアも含め)が持っているクリエイティブは言葉です。言葉遣いや、どんな風に、どんな展開で話すか、それはクリエイティブな脳を使って話しているということですよね。」

アンドレア氏
「自分の生活を豊かにするために発達した脳、それがクリエイティブなんだと思います。生きるために食べることは必要ですが、せっかくなら美味しく食べたいですよね。そこでちょっと工夫をしてみる。このプロセスがまさにクリエイティブ。音楽の研究で、音楽がいつ始まったのかを調べると、自然の音を聞いて、それを口笛やハミング、鼻歌で表現しようとしたのが始まりだそうです。枝を拾って打楽器のように音を立て、そしてその枝が今度は狩りに使われることになった。まさに、生きる過程にクリエイティビティの根底が見えますよね。」

もっと疑問を持つ、違う角度から物を見る、それこそがクリエイティブプロセス

アンドレア氏
「質問しない、疑問を持たせない、そのやり方が今の日本の教育ですよね。でも疑問を持つこと、クエスチョンマークの中で調べることが僕はクリエイティブプロセスだと思います。社会や世の中が、大きな価値観のシフトに差し掛かっている今、中高生のみなさんはその時代のエンジンです。こんな世界になってほしいという描きたい未来を考えていくことも今後のクリエイティブの可能性ですよね。クリエイティブという言葉に踊らされることなく、常に疑問を持ちながら世界を考えてみてください」

対馬氏
「言われてそのままを受け止めるのではなく、ちょっと違う角度から物を見てみること。例えば、僕は昔スケートボードが好きだったんですが、街全体がスケートボードの遊び場に見えてくるんですよ。もちろん、いろんな所でやって怒られましたけどね(笑)。でも、それが僕にとってのクリエイティブで、今の仕事の延長になっています。」

将来やこれからに悩む若者たちに

対馬氏
「将来何をするか、これから何をしたらいいのか悩んでいる人がたくさんいると思います。自分もそうでした。野球選手になりたかったけど、だんだん現実が見えてきてこれは無理なんだなと気づく。いろんな職業に向きあって、トライアンドエラーを繰り返すことが大事だと思います。何が本当に自分に向いているのかを見つけるために、一度、現実にぶつかって打ちのめされてみるといいかもしれないです(笑)。振り返って言えることかもしれないですけど、何度も落ち込みながらも、そのプロセスさえも楽しんで次につなげていくことこそクリエイティブですよね。」

アンドレア氏
「とにかく、進路を決める前に海外へ絶対行ったほうがいいです。海外へ行き、外から日本を見ることで自分のアイデンティティを発見できると思います。もちろん相手の文化も知ることができる。その土地の空気を吸う、その国の食べ物を食べる、人々と話す。引き出しを増やして、視野を広げていく。自分の枠の中だけでなく、外を見ることがクリエイティブだと僕は思います。これからの時代、ドメスティックな仕事ではなくなるから、海外に仲間も作らなければならない時が来ると思います。視野を広げていくためにも、みんな海外にでましょう!」

 第2部はインプットの時間からアウトプットの時間へ。
実際に中高生の参加者からおふたりにさまざまな質問や意見をぶつけてもらいました。

学生
「先ほど対馬さんの話で、打ち砕かれていいよという話でしたが、実際にその時のプロセスの最中はどうでしたか?」

対馬氏
「プロセスとしてみる余裕はありませんでしたね。ベッドで泣いていました(笑)。でも後で絶対にいい経験になると信じてください。悩んでいるなら悩んでいていいし、分からなくていいと思う。考えるしかない時に、勝手に答えは出てきます。何もやることが見つからないなら、その瞬間を楽しんでしまえばいい。悩むっていいことだと思います。僕も毎日悩んでいるし、悩むというのは人生そのものかもしれない。」

アンドレア氏
「10代、20代は自分のアイデンティティを探しながら、経験を積むことを楽しんだほうがいい。今は自分の信じた答えを信じればいいんです。経験が重なって、だんだん答えを出すことができる。そのプロセスの中で、間違いをたくさんして、上から怒られたりもする。嫌な人もたくさんいるけど、そんなのに負けちゃだめだよ。僕らはやりたいことをいっぱいやっていくんだからね。」

学生
「私は、ファッションデザイナーになりたかったけれど、デザインセンスがないと思った。仕事にはできないと思ったけれど、その夢を捨てないで置いておけば、自分の中の引き出しや選択肢が増えていくし、豊かになると思いました。」

対馬氏
「横に置いておいて、忘れてしまうなら、それは、それまでですよね。横に置いておいて気になるのなら、それは本当に好きなこと。自分の心に素直に生きていいと思います。あきらめたからって、だめなのではなく、またそこから次に進んで、見つからない日も楽しんだらいいと思います。」

アンドレア氏
「ファッションと関わっていきたいと思うなら、デザイナーだけが選択肢ではないですよ。その周りにたくさんの仕事があります。チームワークが大事な世界なので、裏方の構図がすごく大事。その一体感がないとものづくりはできない。染色、素材、テキスタイルなどファッション業界も新たなフェーズに入って来ているので、僕もとても注目しています。オートクチュールのYUIMA NAKAZATOというデザイナーを調べてみるといいかもしれないです。独学でファッションを勉強した後、ベルギーのアントワープ王立芸術学院で勉強して独立したという、彼の生き方はおもしろいですよ。視野を広げていろいろ調べてみてください。」

学生
「視野を広げるために、やっていること、日々の中で気をつけていることはありますか?」

対馬氏
「誰もが自分とは違う目線でものを見ていると思います。例えば、相手が自分と違う意見があった時に、相手の立場に一度立ってみるようにしています。相手はなぜそう言うのかな、と考えると違う視野が見えてくる。年齢も生活も違う、中高生のみなさんと話せた今日も視野が広がり、想像できなかったことを見ることができた機会でした。」

アンドレア氏
「家にいても、コンビニに行く時も、いつもアンテナを張るようにしています。どこにいても、毎日新しいことを学んでいる。それを意識すると、いろんなことに興味が持てます。知識は全て経験から来るからこそ、先ほども言いましたが海外に行きましょう。今、行けないのであれば国内でもいいと思います。例えばテーマを決めていくと新しいことが見えるし、学びが多いと思います。ドアを出たらまだまだ知らない世界が広がっていて、そこで好奇心を持ってインスピレーションや自分のアイデンティティを探してみてください。」

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あっという間の2時間。「落ち込んで打ち砕かれることがあってもそれでいい」「やりたいことを持ち続けることが大事」「“好き”の気持ちを大切に」「急がない」「たくさん経験していこう」「上手くいかなかったら、どんどんあきらめて次に行こう」…まだまだ話しは盛り上がっていましたが、最後は時間切れとなりました。「クリエイティブ」のさまざまな視野や考え方を得ることができたトークセッション。まずは、日々意識して行動してみることから始めてみる。行動することで何かが代わり、新しい世界が見えてくるかもしれません。中高生の参加者のみなさんが意識を持って話している姿は、大人の私たちも大いに刺激を受けたイベントとなりました。

そして翌日の2日目では、中高生のみなさんが実際にワークショップを体験することで「クリエイティブ」のプロセスを探っていきます。

イベントレポート|創造性発見ワークショップDAWN! 2日目

レポート:佐藤友美(特定非営利活動法人パラ・ラ・ムジカ)
写真:堂谷 健悟

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