VR勉強会|アバター世界から考える 未来のバーチャルな働き⽅

2018 年 9 月 27 日開催

2018/9/27(木)、co-lab渋谷キャスト1Fラウンジにて、co-factoryを運営する株式会社SpiralMindによる勉強会が開催されました。
今回は、代表取締役 鎌田 卓氏より「アバター世界から考える未来のバーチャルな働き方」というテーマで講演いただきました。


鎌田氏は、1978年から40年コンピューターに触れているそうです。子供の頃、ボードコンピュータや シャープ製コンピュータMZ80に出会い、更にパソコン通信と出会い自ら通信プロバイダを解説したとのこと。その後、コンピュータの発展と共にゲーム機も一般に普及。ファミコンゲームの開発に関わり、その時で飯野賢治(のちに「Dの食卓」等の有名ゲームを生み出した株式会社ワープを設立)と出会いを転機に、製造や教育、そしてエンターテインメントまで幅広い分野におけるアバターコミュニケーションの活動をしていったそうだ。

現在、株式会社SpiralMind 代表取締役にて活動されている鎌田氏。
地域的・⾝体的格差がなく、持続的に経済成⻑が可能で⼈間らしさを失わないデジタル社会を創造する

(1)様々な空間内の⼈の⾏動や⼼理の分析を行い、持続的な経済成⻑に役立てる
(2)アバターテレポーテーション技術を用いて地域的・⾝体的格差を無くしていく
(3)人間の個性を保存できるようなマインドバンクを構築

大きくわけると以上のようなVISIONで、パートナーとオープンラボで創造していくと語った。

アバターの歴史について

アバターとは、神の化身を意味していて宗教的概念から来ているようだ。
世界初の仮想空間はインターネットがまだない時代で、コモドール64という高価なPCを揃える必要のある、アメリカの「Habitat」と見られる。このサービスは、ルーカスフィルム・ゲームスが1986年試験運⽤開始したもので、週末深夜のみであったにも関わらず、稼動⽉の課⾦が千ドル(当時のレートで20万円以上)を超えるユーザーが続出したとのこと。この時代にこれだけの従量課金ユーザーがいたとは驚くべきことである。当初は実験運用されてたサービスであったが、コミュニケーションが活性していった結果、文化の相違や恋愛のトラブルも増え、運営側のサービス負担が深刻となり、2年間で終了した。鎌田氏は、昔も今もアバターコミュニケーションは人間の欲望が忠実に現れる空間であると言う。

パソコン通信の普及とともに、日本のアバターも誕⽣するアメリカのHabitatをベースに、日本の「富士通Habitat」が1990年スタートした。
当時は、パソコン通信時代。制約の多い中誕生したサービスであった。

1995年頃から各パソコン通信会社がインターネットゲートウェイ接続サービスを開始
1995年から急速にインターネットが成長していった。2001年までに鎌田氏も、自ら青森を拠点にインターネットプロバイダ「ABC-NET」を経営していたとのこと。

2003年 アバター空間 SecondLifeの誕⽣
インターネットコミュニケーションの普及に伴い、アバター空間サービス(バーチャルワールド)SecondLifeが誕⽣した。このサービスは日本でも一大ブームとなったがその後、下火に。しかし海外では2018年現在においても活発に活動しているユーザーがいるとのこと。

SecondLife(セカンドライフ)のコミュニケーション

ゲームとしてではなく、パートナーを見つけたり、身体が不自由でも活発に動くことができるなど、社会に根付いたコミュニケーション空間として使われることが多く、2015年の資料によると、ヘビーユーザー層は45歳以上と高めの年齢層が多い(登録者数:4300万人, アクティブユーザー数:90万人)

SecondLifeの経済

今でこそ、仮想通貨という言葉を耳にするが、リアル通貨と相互に換⾦可能な仮想通貨(リンデンドル)が存在し、SecondLifeの中では、土地や商品、様々な店舗運用、イベントで取引が行われている。2009年末時点のリンデンドル通貨発行残高は、2800万USドル相当に登る。

SecondLifeのコンテンツ

コンテンツは、UGC(User Generated Content)といってユーザー自身が創造していく世界である。SecondLifeのマーケットプレイスでは、2018年現在約524万点の商品が販売されている。膨大な商品数で競争も多く結果、クオリティーのよいものが安く手に入るのも魅力である。更に商品には「Modify(変更)」「Copy(コピー)」「Transfer(譲渡)」という三つの設定項⽬があり、作者は「次のオーナーが実⾏できる操作」としてそれぞれを設定して販売・譲渡することがでる。この仕組みによって、制作物を購入した人に対して商品の使われ方に制限をかけることが可能であり、著作権が保たれる仕組みにもなっている。

SecondLifeの行動規範

詳細は十分確認の上で生活いただきたいが、大きく禁止されている6か条が存在する。
1. 軽蔑的な⾔葉や屈辱的な⾔葉や画像の使⽤
2. 不快な振る舞い、威嚇や脅迫、歓迎されない性的な誘いや性的な接待の要求など
3. 銃撃、またはユーザーへのつきまとい、攻撃的スクリプトの使⽤
4. 同意のないユーザーのプライバシー侵害
5. ⼤⼈向けコンテンツの地域外使⽤(裸になることも含む)
6. テロアイテム使⽤またはテロ⾏為の禁⽌
何でもできる空間ではあるが、規範を破ると追放されることもあるとのこと。

鎌田氏からは、その他の仮想空間サービスや、OpenSimの紹介がありました。

みなさんと、SecondLifeで出会う(ここからはハンズオン)
勉強会では実際に皆さんのパソコンから、アバターに名前をつけて空間に入っていただきました。筆者はハンズオンでお手伝いしようと思っていたのですが、みなさん素早くご自分のアバターを作ってログインされて驚きました。そして、名前の付け方やアバターの容姿の選び方でお人柄を垣間見ました。

次に鎌田氏は、SecondLife内に存在する弊社SpiralMindオフィスにアバターのみなさんを招待し簡単な操作やクリエーションに触れたり、勉強会の後のために初心者向きの場所を案内されました。

筆者は、Secondlifeではリアルの所在に関わらず、アバターで1か所にみなさんと集まって話をしたり情報共有ができることが体験により理解でき、働き方の効率化の1つの手段として、アバター空間を取り入れるという未来を感じました。

次回のイベントや、勉強会もお楽しみに!

[株式会社SpiralMind:山田里奈]